2011年06月21日

パナソニック

外国語を店や会社の名前に使う場合、しっかりした知識があって、かつそうすべき理由や根拠があれば、それはそれでよい。松下電器と松下を名乗るグループの会社名をパナソニックとするには、それなりの苦渋の決断だったと推察する。しかしナショナルではなく、同社の高級音響製品に限って使われていた商品名を選択したのは、製品と意味の違いが大きく、誤った決断だった。

パナソニックのパナは、ギリシャ語パンの連結形と思われる。パンドラ「全てを与える」、パンナム「全アメリカ」のパンは「全て」を意味する。ソニックはラテン語の「音」の形容詞で、スーパーソニックなら超音速だ。パナソニックと初めて聞いた欧米人は「全ての音の」と理解し、これは音響関係の会社だと判断する。つまり音とは異なった分野の電気製品は、専門外だと誤解されても仕方がない。

Quattro Angelo in the Garden という店名のレストランがある。Quattro と Angelo はイタリア語で、「4」と「天使」の意味だ。in the Garden は英語で、「庭に」の意味だから、好意的に解釈すれば、「庭に四天使のいるリストランテ」ということになろう。がしかし、イタリア語と英語のチャンポンも妙だが、もっと可笑しいのは「4人で1人の天使」だ。パナソニックを音響専門の会社と誤解するように、この店の主や料理人は、本場で修行したような顔をしているが、イタリアでもアメリカやイギリスでも修行していないと断定される。

「名は体を表す」という言い習わしがあった。会社や店の名前をおいそれと変えるわけには行くまいが、いざ変えようというとき、間違っても、誤解を与えるような名前をつけるべきではない。



posted by シャノワール at 22:01| Comment(0) | 固有名詞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年06月19日

ベント

原発事故関連のカタカナ語には手を焼く、手ではなく頭を悩ます。テレビも新聞も、原子力安全・保安院のスポークスマンも政府の高官も、国際的な単位であるならともかく、日本語に言い換えられるものをもカタカナ語で表現して憚らない。今日耳にし目にしたものには、ベント、シビアアクシデント、ダストなどがある。

毎日新聞には、ベント(排気)、シビアアクシデント(過酷事故)と日本語を括弧に入れて理解ならしめているが、それなら最初から日本語で書けばよい。もし英語らしきカタカナ語と日本語の単語の間に意味のずれがあって、やむを得ず両語を併記したのなら、その旨を読者に伝えなければならない。そうしていないところを見ると、全くの同義語と考えられる。

だとするとベントは bent ではなく、vent だろうが、どうも排気とは意味が違うようだ。vent はラテン語起源で原義は「風」、英語での派生語に ventilation があるが、換気の意味で、吸気と排気の両方の意味だ。出すだけなら exhaust のほうが近い。

シビアアクシデントのシビアも severe だろう。確かに辞書には訳語として「過酷な」はあるが、「過酷事故」は通常の日本語として馴染みにくい。むしろ「重大事故」のほうが近い。重大事故と言ってしまうと、のっぴきならない感じを与えるので、普通は言わないような表現をすることで、オブラートに包んでいるのだろうと疑いたくなる。

ダストは東京電力のスポークスマンの言である。「ダストが舞い上がらないように」ということは、「埃が舞い上がらないように」で十分だ。それともダストという単語には、原発の専門用語として特別な意味があるのだろうか。そもそも安全を標榜していたのだから、原発事故によって生じる「埃、塵、ゴミ」などを定義する専門用語があったとは考えられない。

排気、重大事故、埃で済むものを外国語の単語に置き換えるなど、全く馬鹿げた行為である。新聞は普段こういう馬鹿の語は少ないのだが、こと原発事故に関しては、東電や監督官庁、ときには学者や専門家につられてしまうのだろう。もっと日本語を大切にしよう。さもないと孫と話すのに通訳が必要になるだろう。




posted by シャノワール at 21:42| Comment(0) | 外来語 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年06月17日

7スタBratch!

テレビ東京の「7スタBratch!」とは奇妙な番組名だ。Bratch という耳慣れない単語を本気で辞書で調べたのだが、英語ではなかった。そこでテレビ東京のサイトを開いて分かったのは、「7スタBratch! “Bratch”(ブラッチ)とは「ぶらり」と「watch」を合わせた造語」ということだ。

「7スタ」は「テレビ東京新スタジオ」だそうで、言わば社内の略語だ。そもそもスタジオという英単語はない。スペイン語なら estadio エスターディオがあるが、これはスタジアムの意味だ。社内の略語と似非英単語にびっくりマークだからびっくりだ。

日本語の「ぶらり」はローマ字表記でも brari とはならない。百歩譲ったとしても、watch と合成となると、もはや狂気の世界だ。言語を道具とする放送局が、言語を弄んではならないことは言うまでもない。局の幹部は当然りん議に判を押しているはずだが、こんな番組名を許しているのだろうか。



posted by シャノワール at 16:35| Comment(0) | 造語 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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