2011年07月10日

ストレステスト

Wikipediaによると、「ストレス・テスト(英: stress test)とは、システムに通常以上の負荷をかけて正常に動作するか、つまり隠れた欠陥がないか調べるリスク管理手法のひとつである」という。日本語で、経済学の用語では「健全性検査」、機械・電気などの工業分野では「負荷検査」と言うそうだ。では原子力発電所に関しては何と言うのだろうか。

玄海原発の運用再開を要請した国は、安全を保証し、万一の際は国が責任を持つと断言した。全く安全性に問題がないなら、改めてストレステストという負荷検査を行なう必要は無いはずだ。政府の矛盾する応対には、いつものことながら失望させられる。

万一の事故には国が責任を持つと言うなら、福島第一原発の事故に対して、国はどんな責任の取り方をしたのだろうか。無為無策に加えて、情報隠匿という、信じられない対応しかないではないか。さらに「知恵を出さないやつは助けない」となると、福島県民のみならず、遠く離れた佐賀県民も政府への信頼を失うだろう。

このブログは言葉を扱うものだから、少し横道にそれてしまったが、現存する原発に通常以上の負荷をかけて、その結果事故につながったらどうしようという不安から、政府の言葉尻を捉える結果となった。本当にストレステストが必要なのは、現政権そのものではないだろうか。


posted by シャノワール at 11:13| Comment(0) | 外来語 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年06月26日

トレーサビリティー

新聞の見出しに「米トレーサビリティー法」というのがあった。中身を読むまでは、アメリカで何かを追跡する法律ができたのかと思った。中身を読んで、もしこれが法律の名前なら、日本国の政府や議員たちは狂ったと思った。

はじめて「米トレーサビリティー法」という言葉を耳にし、あるいは目にして、いったいどれだけの人が正確に理解するだろうか。英語はそれなりに学んできた私でもカタカナ語のトレーサビリティの解釈に手間取ったのだから。trace「トレース」はトレーシングペーパーなどで入った語で、地図などで道をなぞっていく等の意味。-able「アブル」は接尾辞で「可能な」、-ity「イティ」も同じく接尾辞で主として抽象名詞を作る。2つの接尾辞が結びついたのが ability「アビリティ」だ。これらが組み合わされた語が traceability「トレーサビリティ」だ。日本語に置き換えたら、追尾(または追跡)可能性だろうか。生産情報表示としても大差ないだろう。「米トレーサビリティー法」は、米がどこで誰によって生産されたかを追尾可能ならしめるための法律と解釈した。

こういう外来語の馬鹿げた使い方では、「『地下バウンダリー』プレスについて」という見出しも同類だ。これには、わざわざ「地下ダム」と日本語を添えてある。地下ダムで十分理解できるのに、なぜ地下バウンダリーと言わねばならないのか。

この場合「プレス」も広義で分かりにくい。プリント姉妹語で、もとはラテン語で原義は「押す」。活字を押すことから「印刷する」に、印刷物から「新聞(関係者)」に、「コーヒープレス」では、コーヒーを圧力をかけて抽出することからで、エスプレッソは、イタリア語だが、「外に押す」つまり押し出して抽出することに他ならない。では、ここでは何を意味しているのだろうか。本文を読まなかったので当てずっぽうだが、地中に堰を押し込んで、汚染水が境界の外に漏れ出さないようにすることかもしれない。

ともかく分からない、あるいは分かりにくい、いか様にも誤解されうる言葉だ。理解できないこと、誤解することを目的にするカタカナ語なら、直ちに廃止すべきだ。適当な日本語を考えるのが面倒だと言うなら、名称を公募したらいい。






posted by シャノワール at 23:28| Comment(0) | 外来語 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年06月19日

ベント

原発事故関連のカタカナ語には手を焼く、手ではなく頭を悩ます。テレビも新聞も、原子力安全・保安院のスポークスマンも政府の高官も、国際的な単位であるならともかく、日本語に言い換えられるものをもカタカナ語で表現して憚らない。今日耳にし目にしたものには、ベント、シビアアクシデント、ダストなどがある。

毎日新聞には、ベント(排気)、シビアアクシデント(過酷事故)と日本語を括弧に入れて理解ならしめているが、それなら最初から日本語で書けばよい。もし英語らしきカタカナ語と日本語の単語の間に意味のずれがあって、やむを得ず両語を併記したのなら、その旨を読者に伝えなければならない。そうしていないところを見ると、全くの同義語と考えられる。

だとするとベントは bent ではなく、vent だろうが、どうも排気とは意味が違うようだ。vent はラテン語起源で原義は「風」、英語での派生語に ventilation があるが、換気の意味で、吸気と排気の両方の意味だ。出すだけなら exhaust のほうが近い。

シビアアクシデントのシビアも severe だろう。確かに辞書には訳語として「過酷な」はあるが、「過酷事故」は通常の日本語として馴染みにくい。むしろ「重大事故」のほうが近い。重大事故と言ってしまうと、のっぴきならない感じを与えるので、普通は言わないような表現をすることで、オブラートに包んでいるのだろうと疑いたくなる。

ダストは東京電力のスポークスマンの言である。「ダストが舞い上がらないように」ということは、「埃が舞い上がらないように」で十分だ。それともダストという単語には、原発の専門用語として特別な意味があるのだろうか。そもそも安全を標榜していたのだから、原発事故によって生じる「埃、塵、ゴミ」などを定義する専門用語があったとは考えられない。

排気、重大事故、埃で済むものを外国語の単語に置き換えるなど、全く馬鹿げた行為である。新聞は普段こういう馬鹿の語は少ないのだが、こと原発事故に関しては、東電や監督官庁、ときには学者や専門家につられてしまうのだろう。もっと日本語を大切にしよう。さもないと孫と話すのに通訳が必要になるだろう。




posted by シャノワール at 21:42| Comment(0) | 外来語 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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