2011年06月19日

ベント

原発事故関連のカタカナ語には手を焼く、手ではなく頭を悩ます。テレビも新聞も、原子力安全・保安院のスポークスマンも政府の高官も、国際的な単位であるならともかく、日本語に言い換えられるものをもカタカナ語で表現して憚らない。今日耳にし目にしたものには、ベント、シビアアクシデント、ダストなどがある。

毎日新聞には、ベント(排気)、シビアアクシデント(過酷事故)と日本語を括弧に入れて理解ならしめているが、それなら最初から日本語で書けばよい。もし英語らしきカタカナ語と日本語の単語の間に意味のずれがあって、やむを得ず両語を併記したのなら、その旨を読者に伝えなければならない。そうしていないところを見ると、全くの同義語と考えられる。

だとするとベントは bent ではなく、vent だろうが、どうも排気とは意味が違うようだ。vent はラテン語起源で原義は「風」、英語での派生語に ventilation があるが、換気の意味で、吸気と排気の両方の意味だ。出すだけなら exhaust のほうが近い。

シビアアクシデントのシビアも severe だろう。確かに辞書には訳語として「過酷な」はあるが、「過酷事故」は通常の日本語として馴染みにくい。むしろ「重大事故」のほうが近い。重大事故と言ってしまうと、のっぴきならない感じを与えるので、普通は言わないような表現をすることで、オブラートに包んでいるのだろうと疑いたくなる。

ダストは東京電力のスポークスマンの言である。「ダストが舞い上がらないように」ということは、「埃が舞い上がらないように」で十分だ。それともダストという単語には、原発の専門用語として特別な意味があるのだろうか。そもそも安全を標榜していたのだから、原発事故によって生じる「埃、塵、ゴミ」などを定義する専門用語があったとは考えられない。

排気、重大事故、埃で済むものを外国語の単語に置き換えるなど、全く馬鹿げた行為である。新聞は普段こういう馬鹿の語は少ないのだが、こと原発事故に関しては、東電や監督官庁、ときには学者や専門家につられてしまうのだろう。もっと日本語を大切にしよう。さもないと孫と話すのに通訳が必要になるだろう。




posted by シャノワール at 21:42| Comment(0) | 外来語 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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